前回の続き:仙骨の、そのまた先へ
前回は仙骨を「身体のGPS」としてお話ししました。今回はその少し下、背骨のいちばん先にある尾骨のお話です。いわゆる「しっぽの骨」。3〜5個の小さな骨がつながった、指先ほどの骨です。
仙骨を、ぎゅっと小さくしたかたち
仙骨と尾骨を並べてみると、とてもよく似ています。どちらも小さな骨がいくつも合わさってでき、上が広く、下へいくほど細くなる。尾骨は、仙骨をそのまま小さくしたような骨なのです。
施術を続けるなかで、仙骨は「意識を向ける点」としては少し大きすぎると感じていました。手のひらほどの広さがあると、どこに意識を置けばいいのかがぼやけてしまう。そこで同じかたちを持つ、もっと小さな尾骨に目を向けたとき、身体の中心がすっと一点に集まるのを感じました。
背骨の中を満ちては引く「潮」
背骨の中には、脳脊髄液という透明な液体が満ちています。最近のMRI研究で、この液体は川のように一方向へ流れるのではなく、心臓の拍動や呼吸に合わせて寄せては返す「潮」のように動いていることが分かってきました。
この潮を包む膜の袋は仙骨のあたりで閉じ、そこから「終糸(しゅうし)」という細い糸がのびて、尾骨につながっています。
尾骨は、潮をつなぎとめる錨
船は錨があるから、波に揺れても流されません。当院では、尾骨をこの錨のような存在として観ています。脳から背骨を通り、尾骨まで一本の糸でつながる身体。その端が落ち着いていると、上の潮もおだやかに巡りやすい。そんな見立てです。
座り方が、錨をゆらしている
背中を丸めて座ると、体重は坐骨から尾骨のほうへ移り、骨盤の底を支える筋肉が押しつぶされた状態になります。「腰を揉んでもすっきりしない」ときは、背骨の先から見直してみると、ヒントが見つかることがあります。
今日からできる、錨を落ち着ける時間
椅子に座ったら、お尻の下に左右の坐骨を感じて、骨盤を少しだけ起こしてみてください。次に、背骨のいちばん先、尾骨の先端に意識をひとつだけ置きます。そのまま鼻からゆっくり吸って、長く吐く。潮の満ち引きを感じるように、3回だけ。尾骨がふっと座面から浮いて、背骨がすっと伸びる感覚があれば十分です。
おわりに
仙骨が「感じ取る」センサーなら、尾骨はそのかたちを小さな一点に凝縮した錨。東札幌のたかばたけ整骨院では、強く押さず、この小さな骨にそっと手を添えるところから身体のリブートを始めています。腰痛やぎっくり腰をくり返している方、一度、背骨の先まで一緒に観てみませんか。
