朝が暗くなってきた季節に
10月も後半になり、東札幌でも朝カーテンを開けたときの暗さが気になる季節になりました。目覚ましが鳴っても身体が起きてこない。なんとなく腰が重い。そんな感覚を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
前回は、脳脊髄液が「川」ではなく「潮」のように寄せては返していること、そして尾骨がその潮の中で小さな錨(いかり)になる、というお話をしました。
今回は、その潮の“外側”にあるもの、身体のリズムに寄り添ってくれる存在に目を向けてみます。キーワードは「月」です。
地球の揺れを抑えてきた月
地球は、自転軸がゆっくりと首を振りながら回る、大きなコマのような存在です。
もし月がなかったら、地球の軸の傾きはもっと大きく揺れ動き、気候も激しく変わっていた可能性があると考えられています。月がそばにあり続けたことで、地球の軸は比較的安定し、四季のある穏やかな環境が長く保たれてきました。
ここで大切なのは、月が地球を押さえつけているわけではない、ということです。
離れすぎず、近づきすぎず、一定のリズムで寄り添い続ける。月は地球を支配せず、ただそばにいることで揺れを小さくしてきました。
回り続けるコマは、止まって見える
子どもの頃、コマ回しをしたことはありますか。
上手に回ったコマは、勢いよく回っているのに、まるで静止しているように見えます。これを「眠りゴマ」と呼びます。止まっているから安定しているのではなく、安定したリズムで回り続けているから静かに見えるのです。
私は、健康な身体もこれに近いと考えています。
身体は、心臓の拍動や呼吸、眠りの波によって、いつも動き続けています。それでも調子のよいときは、その揺れが穏やかにそろっていて、本人は「何も感じない」。眠りゴマのような状態です。
身体にも「月」がある
では、身体の軸が大きくぶれないよう、そばで寄り添ってくれるものは何でしょうか。
当院では、これを「身体の月」と呼んでいます。代表的なものは次の三つです。
- 自分で持てる月……ゆっくりとした鼻呼吸
- 外から整える月……朝の光と、深い眠り
- 施術の時間だけ寄り添う月……施術者の手
どれも「強く何かをする」ものではありません。静かに、繰り返し寄り添うリズムです。
自分で持てる月|呼吸
心臓の拍動や眠りのリズムは、自分の意思で動かすことができません。その中で唯一、自分で関われるのが呼吸です。
深い呼吸ほど、脳脊髄液の動きも大きくなることが分かってきました。
やり方は簡単です。椅子に座り、鼻から静かに吸って、吸ったときより少し長く時間をかけて鼻から吐く。これを数回繰り返すだけです。お腹をへこませたり、大きく胸を張ったりする必要はありません。寄せては返す波のように、自然なリズムを思い出すことが目的です。
外から整える月|朝の光と眠り
朝の光は、体内時計を合わせ直す合図になります。朝にしっかり光を浴びることで、夜の自然な眠気にもつながっていきます。
そして深い眠りの間には、脳脊髄液がゆっくりとした波となって脳に流れ込むことも分かってきました。
日が短くなる秋から冬にかけては、この「外の月」が弱まりやすい季節です。起きたらまずカーテンを開ける。曇りの日でも窓際で朝食をとる。夜はスマホの画面を早めに閉じ、灯りを少し落とす。小さな習慣ですが、身体にとっては大切なリズムの手がかりになります。
施術の時間だけ寄り添う月|手
季節の変わり目に、腰の重さを感じたり、ぎっくり腰を起こしやすくなったりする方は少なくありません。身体の軸が、寄り添ってくれる相手を見失いかけているのかもしれません。
当院のリブート整体が、強く押したりバキバキ鳴らしたりしないのは、そのためです。施術者の手は、身体を思い通りに動かすためのものではありません。仙腸関節や肋骨にそっと触れ、身体が自分で軸を取り戻すまでの間だけ寄り添う。いわば「施術の時間だけの月」でありたいと考えています。
揺れを止めず、そろえていく
身体の不調を感じると、私たちはつい揺れを「止めよう」としてしまいます。けれど、地球も、コマも、そして身体も、動き続けることで安定しています。
必要なのは揺れをなくすことではなく、寄り添うリズムを取り戻して、揺れを穏やかにそろえていくことです。
朝の光、ゆっくりとした呼吸、深い眠り。あなたの身体の月を、今日からひとつ取り戻してみてください。それでも腰の重さが続くときは、どうぞ当院にご相談ください。
